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免疫:養子移入腫瘍反応性T細胞が認識する変異抗原をエキソーム配列データマイニングによって見つけだす

Nature Medicine 19, 6 doi: 10.1038/nm.3161

自己の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)養子移入に関する第II相臨床試験では、この処置を受けた黒色腫患者で転移病巣の大幅な退縮が観察された例が70%に達した。また、最近の臨床試験でTIL治療を受けた患者の40%で、TIL治療後少なくとも5年間にわたって、測定可能なすべての病巣で完全な退縮が見られた。腫瘍の持続的退縮をもたらすTILの能力と、変異の生じた遺伝子の産物などからなると推定される強力な抗原を認識する能力との間にあると考えられる関連を評価するために、我々は患者の腫瘍で発現している変異タンパク質を見つけだすための全エキソーム配列のデータマイニングを用いる新しいスクリーニング手法を開発した。次に、主要組織適合複合体結合アルゴリズムを用いて見つかった変異T細胞エピトープ候補を合成し、TILによる認識についての評価を行った。この手法を使うことで、自己腫瘍細胞で発現されている変異抗原が同定された。こうした抗原は、養子移入後に対象となる腫瘍の退縮が見られた3人のメラノーマ患者からの3つのバルクTIL集団により認識された。T細胞が認識する変異抗原を見つけだすためのこの簡易化された手法は、腫瘍からのcDNAライブラリー作製や手間のかかるスクリーニングを必要とせず、多様な腫瘍で発現している変異抗原を見つけだすための広く応用可能な手法となるだろう。

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