Review
C型肝炎ウイルスワクチン開発の現在の進捗状況
Nature Medicine 19, 7 doi: 10.1038/nm.3183
C型肝炎については、その解明と治療法が大きく進歩したにもかかわらず、予防的ワクチンはまだ作られていない。C型肝炎ウイルスの著しい遺伝学的多様性と複数の持続機構が、感染宿主のウイルスに対する免疫応答が比較的弱いことと相まって、ワクチン開発の主要な障壁となっている。さらに、ロバストで簡便なモデル系がないことが、効果の高いワクチン開発の努力に対するもう1つの障害となっている。ウイルス・宿主間相互作用およびC型肝炎ウイルス感染に対する防御免疫についての我々の理解の進歩によって、液性および細胞性免疫応答の両方を標的とする、強力で指向性の広いワクチン候補開発のための重要な指針が得られつつある。ウイルス免疫原を生成して検証を行った多数の試みの成功の程度はさまざまだが、いくつかのワクチン候補は、チンパンジーで得られた有望な結果に基づいて臨床試験に進んでいる。予防的ワクチンが最終的な成功を収めるには、防御免疫のあらゆる側面の包括的評価、最新のワクチン技術の革新的応用に加えて、効果の最終的エンドポイントを確定できる適切に計画されたワクチン臨床試験が必要である。