Review
C型肝炎の世界規模での制圧:難問解決の好機
Nature Medicine 19, 7 doi: 10.1038/nm.3184
C型肝炎ウイルス(HCV)感染の歴史は、重要な新しい段階に入りつつある。難問が明確になってきたが、それを克服する好機もまた見えてきている。一方、新規なHCV感染は今なお生じており、全世界でおよそ1億8,500万人が、現在感染中、またはこれまでに感染を経験している。HCV感染者のほとんどは自分たちの置かれている状態に気づいていないが、実は肝硬変や肝細胞がん(HCC)などの命にかかわる疾患のリスクにさらされているのであり、このような疾患の発生率は今後の10年間で上昇すると予測されている。その一方で、新しいHCV感染は防止できる可能性があり、また、起こってしまった感染でも見つけ出して治療することはできる。つまりウイルスは根絶することも可能なのである。HCV感染の歴史がどのような終わり方をするかは、増え続ける難問がこのような急速な進歩によってどの程度克服されるか、その程度と公衆衛生対策の活発化によっておおむね決まるだろう。