Review
慢性ウイルス性肝炎の病因:T細胞とNK細胞の異なる役割
Nature Medicine 19, 7 doi: 10.1038/nm.3251
B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の慢性感染は、世界中の肝硬変症例の57%、原発性肝がん症例の78%の原因であり、年間100万人の死亡を引き起こす。HBVとHCVでは、ゲノム構造、複製方法や生活環は異なるが、非細胞変性性や免疫を介すると考えられている慢性肝疾患誘導能など、共通の特徴も見つかっている。しかし、慢性肝炎から肝硬変への疾患の進行速度は、感染患者の間で大きく異なっており、またこうした性質を調節する因子はほとんど知られていない。本総説では、B型およびC型慢性肝炎の病因における抗原特異的および非特異的免疫細胞の役割に関する現在の理解についてまとめ、またナチュラルキラー細胞がT細胞機能と肝臓の炎症の調節因子であることを突き止めた最近の知見について考察する。