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臓器繊維症:腎臓繊維症における筋繊維芽細胞の起源と機能

Nature Medicine 19, 8 doi: 10.1038/nm.3218

筋繊維芽細胞は臓器繊維症と関連付けられているが、その起源と機能的役割の詳細についてはまだわかっていない。我々は、複数種のトランスジェニックマウスを用いて、細胞の追跡と細胞運命地図の作成、細胞除去実験を行い、腎臓繊維症における筋繊維芽細胞の供給源と機能を決定した。今回の包括的な解析により、筋繊維芽細胞のプールは複数に分かれていて、その50%は局所に常在する繊維芽細胞の増殖によって生じることがわかった。非増殖性の筋繊維芽細胞は、骨髄からの分化に由来するものが35%、内皮間葉転換プログラムに由来するものが10%、上皮間葉転換プログラムに由来するものが5%だった。平滑筋αアクチン(αSMA)+細胞でのTgfbr2の特異的欠失により、分化を介する筋繊維芽細胞の誘導にこの経路が重要であることがわかった。遺伝学的マウスモデルと細胞運命地図作成によって、血管周皮細胞は筋繊維芽細胞あるいは繊維症の出現におそらく寄与していないことが明らかになった。我々の結果は、腎臓繊維症における筋繊維芽細胞の複合的な蓄積を大幅に阻害するには、多様な経路を標的とする必要があることを示唆している。

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