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免疫:ヒトの自己免疫疾患では制御性T細胞の増殖能が障害されている

Nature Medicine 20, 1 doi: 10.1038/nm.3411

ヒトCD4+CD25highCD127FoxP3+制御性T(Treg)細胞は、in vitroおよびin vivoで免疫応答を抑制する。自己免疫疾患では、末梢Treg細胞の抑制機能低下や細胞数減少が起こることがこれまでに報告されている。in vivoでは、Treg細胞はCD4+細胞中で最も活発に複製している分画だが、in vitroでは古典的なT細胞受容体(TCR)刺激に対する応答性が低く、これはその過剰な代謝状態に対して派生的な状態であるといえる。今回我々は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の患者ではTCR刺激後のTreg細胞の増殖が障害されていて、これがインターロイキン2(IL-2)分泌およびIL-2受容体(IL-2R)— STAT5(signal transducer and activator of transcription 5)シグナル伝達の変化によっていることを報告する。この障害は、FoxP3(forkhead box P3)の44 kDAおよび47 kDaスプライシング型の発現低下、S6リボソームタンパク質(mTOR下流の標的分子)の過剰活性化、およびサイクリン依存性キナーゼ阻害因子p27(p27kip1)とERK1/2(extracellular signal-related kinases 1 and 2)の活性変化と関連している。RRMSで見られるTreg細胞の増殖能障害は患者の臨床状態と相関していて、疾患重症度の上昇はTreg細胞増殖の低下と関連している。これらの結果は、これまで認識されていなかった機構を示唆しており、これによって自己免疫疾患でTreg細胞が徐々に消失することを説明できる可能性がある。

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