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免疫:自己免疫性関節炎で見られる、Foxp3+ T細胞から病原性のTH17細胞への転換

Nature Medicine 20, 1 doi: 10.1038/nm.3432

自己免疫疾患は、制御性T(Treg)細胞とインターロイキン17(IL-17)産生ヘルパーT(TH17)細胞のバランスの崩れによって生じることが多いが、TH17細胞の起源はほとんど分かっていない。Foxp3はTreg細胞の抑制機能に不可欠であるが、Foxp3の安定性については議論が続いている。今回我々は、Foxp3+ T細胞から生じたTH17細胞が、自己免疫性関節炎の病因に重要な役割を持つことを示す。関節炎を発症した状態では、CD25loFoxp3+CD4+ T細胞はFoxp3を発現しなくなり(以後exFoxp3と呼ぶ)、TH17細胞へと分化転換する。細胞系譜解析により、IL-17を発現するexFoxp3 T(exFoxp3 TH17)細胞が炎症を起こした関節に蓄積していることが明らかになった。Foxp3+CD4+ T細胞のTH17細胞への転換は、滑膜繊維芽細胞由来のIL-6によって媒介された。このようなexFoxp3 TH17細胞は、ナイーブCD4+ T細胞由来のTH17細胞よりも強力な破骨細胞生成T細胞だった。特に、exFoxp3 TH17細胞は、Sox4、CCR6〔chemokine (C-C motif) receptor 6〕、CCL20〔chemokine (C-C motif) ligand 20〕、IL-23受容体(IL-23R)およびRANKL(receptor activator of NF-κB ligand:別名TNFSF11)の発現を特徴としていた。抗原刺激を受けた自己反応性のCD25loFoxp3+CD4+ T細胞のマウスへの養子移入の後、コラーゲンを用いて二次免疫すると、関節炎の発症の早期化と重症度の悪化が見られ、これは移入したT細胞の大部分に見られるFoxp3発現消失と関連していた。我々は、疾患活動性の高い関節リウマチ(RA)患者の滑膜でIL-17+Foxp3+ T細胞を観察しており、これは可塑性を持つFoxp3+ T細胞のRAの病因への関与を示唆している。これらの知見は、自己免疫疾患での病原性TH17細胞の発生にFoxp3発現の不安定性が病理学的重要性を持つことを明らかにしている。

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