体がカロリー摂取量の変化に適応できるように働く代謝調節因子群は、加齢関連疾患を防止するのに必要なことが分かっている。サーチュイン類はこうした防止プログラムで重要な役割を担っており、老化だけでなく他の疾患にも影響を与えている。生体でのサーチュイン類の多面的な作用や健康寿命への影響は、新しい研究によって明らかになりつつある。BEDSIDE TO BENCHではL Guarenteが、さまざまなサーチュインがワールブルク効果の抑制によってがんの代謝を妨げる仕組みについて論じている。いくつかのサーチュインは異なる代謝経路の調節により、抗腫瘍効果のように見える作用を及ぼすことから、サーチュインの機能もしくはその下流の標的の機能を引き出すような治療法ががんの増殖を阻止する可能性が考えられるようになった。BENCH TO BEDSIDEではE Verdinが、サーチュインの補因子であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の量を増加させるとサーチュインの酵素活性が亢進されて、長寿や健康寿命にプラスの影響を及ぼす可能性があることをそれぞれ異なる動物モデルを使って示したいくつかの研究を詳しく検討している。NADを治療に使うことが寿命延長や病状改善を可能にするのかどうかについては、まだ議論が続いている。