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筋疾患:細胞内Ca2+チャネルMCOLN1は筋繊維鞘を修復して筋ジストロフィーを防止するのに必要である
Nature Medicine 20, 10 doi: 10.1038/nm.3611
細胞膜の完全性の維持は活発な修復過程を介して維持されており、in vivoで収縮誘導性の機械的障害がしばしば起こる骨格筋細胞や心筋細胞ではそれが特に顕著である。筋ジストロフィー(MD)は骨格筋の萎縮と筋力低下を特徴とする一群の筋疾患である。この疾患群の重要な原因は筋繊維鞘の損傷修復に欠陥が見られることで、こうした修復には通常、Ca2+センサータンパク質および細胞内小胞の損傷部位への輸送(Ca2+に依存して行われる)が必要である。MCOLN1(別名TRPML1あるいはML1)はエンドソームおよびリソソームにあるCa2+チャネルで、ヒトでのその変異は運動機能障害を伴う神経変性疾患であるムコリピドーシスIV(ML4)の原因である。今回我々は、ML1ヌルマウスが、神経変性とは無関係に原発性早期発症型MDを発症することを報告する。ML1ヌルの筋繊維、あるいはML1チャネル活性もしくは小胞Ca2+放出を薬理学的に急性阻害した筋繊維では、ジストロフィン−糖タンパク質複合体と既知の膜修復タンパク質の発現は正常であるにもかかわらず、膜の修復に欠陥が見られた。細胞膜の損傷は、ML1チャネル活性の上昇により、小胞の輸送とエキソサイトーシスを促進した。ジストロフィーのmdxマウスモデルでは、ML1の過剰発現は筋病態を軽減した。まとめると我々の結果は、Ca2+依存性の小胞エキソサイトーシスを介して骨格筋の膜修復を調節する細胞内Ca2+チャネルを明らかにしている。