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筋再生:JAK-STATシグナル伝達の阻害は成体の衛星細胞機能を刺激する
Nature Medicine 20, 10 doi: 10.1038/nm.3655
骨格筋の再生能は成人期に減衰する。我々は、筋再生およびニッチ再構成に寄与するマウス成体衛星細胞で本来的な能力低下が起こっていることを明らかにした。遺伝子発現解析から、18か月齢のマウスでは、3週齢のマウスに比べてJAK-STATシグナル伝達の標的群の発現が高くなっていることが分かった。Jak2、もしくはStat3をノックダウンすると、培養筋繊維で衛星幹細胞の対称性分裂が大幅に活性化した。あらかじめ単離した衛星細胞でJak2もしくはStat3発現を遺伝的ノックダウンすると、再生中の前脛骨筋への移植後に衛星細胞ニッチを再構築する能力が著しく増強された。Jak2およびStat3活性の薬剤による阻害でも同様に、in vitroでの衛星細胞の対称的増殖、およびin vivoでの生着が刺激された。このような薬剤の筋肉内注射は、心臓毒による損傷後の筋修復と力発生の著しい増強につながった。まとめるとこれらの結果は、機能の異なる衛星細胞を作り出す内因的な加齢関連経路を明らかにし、また筋消耗性疾患治療のための有望な手段を示唆している。