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血管新生:ニューロンでのcoagulation factor II receptor-like 1の細胞内局在場所は血管新生を支配している
Nature Medicine 20, 10 doi: 10.1038/nm.3669
網膜の血管発生には、ニューロンが重要な役割を担っている。今回我々は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)の F2rl1(coagulation factor II receptor-like 1、以前の名称はPar2)が網膜のガングリオン細胞に豊富に存在し、網膜の発生中および虚血性網膜症で、新たな血管形成に関与することを示す。網膜ガングリオン細胞のF2rl1は、刺激を受けると、微小管依存性シャトルを用いて細胞膜から細胞核へと移動し、これにはSnx11(sorting nexin 11)が必要とされる。F2rl1は核で転写因子Sp1の動員を促進し、Vegfaの発現、さらには血管新生を引き起こす。対照的に、F2rl1が従来知られているように膜で活性化されると、Ang1などの血管の成熟に関係する複数の遺伝子の発現が誘導される。F2rl1の核への再局在化は阻害されているが、膜での活性化は阻害されていない変異体群では、Vegfa発現が阻害されるが、Ang1の発現は影響されない。従って、相補的に働いている血管新生因子は、血管新生を支配する受容体(F2rl1)が細胞内のどこに局在するかによって調節されている。以上の結果は、作用標的の細胞内分布に基づいた薬剤選択に関わってくると考えられる。