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がん:in vivo RNAiスクリーニングによって明らかになった肝臓がんにおけるソラフェニブ耐性機構
Nature Medicine 20, 10 doi: 10.1038/nm.3679
固形腫瘍では、細胞傷害性の薬剤や分子標的治療薬の投与を行った際に治療耐性が生じることが避けられない。本研究では、マウスの肝細胞がん(HCC)で、プールされたshRNAのin vivoでの直接的スクリーニングを行って、治療耐性に関わる可能性のある遺伝子を突き止めるための系について述べる。ヒトHCCゲノムの局所的な増幅領域内に位置する遺伝子を標的として絞り込んだshRNAライブラリーを用い、阻害された際にマルチキナーゼ阻害剤であるソラフェニブの治療効果を増強する遺伝子のスクリーニングを行った。Mapk14(p38α)のshRNAを介したサイレンシング、あるいは薬理学的サイレンシングはいずれも、マウスHCCのソラフェニブ治療に対する感受性を高め、Mek-ErkおよびAtf2シグナル伝達のMapk14依存性活性化の阻害により生存を延長することが分かった。Mapk14-Atf2シグナル伝達の亢進は、ヒトHCCでのソラフェニブ治療に対する応答性低下につながり、Mapk14のサイレンシングにより、p-Mapk14を発現するHCC細胞のソラフェニブ耐性が解消できた。我々の結果は、ソラフェニブとMapk14阻害の併用は、ヒトHCCの治療耐性を克服する有望な手段となることを示唆している。