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自己免疫疾患:FoxA1はEAEとMSで新規な制御性T細胞集団に分化系列を指示し免疫抑制性を付与する

Nature Medicine 20, 3 doi: 10.1038/nm.3485

自己免疫疾患での制御性T(Treg)細胞の発生障害あるいは機能障害は、慢性的な炎症や組織損傷の一因となる。我々は、FoxA1がT細胞での転写因子であり、新たに見つかったTreg細胞集団(以後FoxA1+ Treg細胞と呼ぶ)を異所性発現後に抑制性とすることを明らかにした。FoxA1はPdl1プロモーターに結合して、Pd-l1(programmed cell death ligand l)の発現を誘導し、これはFoxA1+ Treg細胞が活性化T細胞を殺すために不可欠であった。FoxA1+ Treg細胞は、自己免疫性炎症に応じて主に中枢神経系で発生し、独特な転写プロファイルを示し、CD4+FoxA1+CD47+CD69+PD-L1hiFoxP3-という特性を持つ。安定なFoxA1+ Treg細胞の養子移入は、実験的自己免疫性脳脊髄炎をFoxA1およびPd-l1依存的に抑制した。Ifnb−/−およびIfnar−/−マウスではFoxA1+ Treg細胞の出現頻度が低下するので、FoxA1+ Treg細胞の発生はインターフェロンβ(IFN-β)により誘導され、T細胞に内在するIFN-α/β受容体(Ifnar)シグナル伝達が必要である。再発寛解型多発性硬化症の患者では、IFN-β投与に対する臨床応答は、血中の抑制性FoxA1+ Treg細胞の頻度上昇と関連していた。これらの知見は、FoxA1がIFN-βによって誘導され、FoxA1+ Treg細胞の分化と抑制性機能を支える細胞系列決定因子であることを示唆している。

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