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免疫:インフルエンザ感染に対する免疫記憶の維持にオートファジーが果たす必須の役割
Nature Medicine 20, 5 doi: 10.1038/nm.3521
ワクチン接種は、ウイルス感染に対する防御手段として百年以上にわたって最も広く使われてきた。しかし、ワクチンに応じて生じた免疫学的記憶の長期維持をつかさどる分子機構は明らかになっていない。今回我々は、オートファジーがインフルエンザウイルス感染を防御する記憶B細胞の維持に非常に重要な役割を果たすことを示す。記憶B細胞ではオートファジーの基礎レベルが上昇しており、それに伴ってオートファジー開始もしくはオートファゴソーム成熟を調節する遺伝子の発現増加が見られた。B細胞特異的にAtg7を欠損したマウス(B/Atg7−/−マウス)は、インフルエンザに対する免疫後に正常な一次抗体応答を示すが、インフルエンザウイルスを攻撃投与した際には防御的な二次抗体応答を生じることができず、その結果として高いウイルス負荷、肺の広範囲にわたる破壊と致死率の上昇が見られた。我々の結果は、マウスでのウイルス特異的記憶B細胞の生存と感染と闘うために必要な防御抗体応答の維持にオートファジーが不可欠であることを示唆している。