Letter

HIV:HIV-1に感染した乳児での広範囲中和抗体の早期発生

Nature Medicine 20, 6 doi: 10.1038/nm.3565

HIV-1に対して防御的に働く中和抗体(NAb)の誘導は、HIV-1が遺伝的多様性、また抗原としての多様性が非常に高いために非常に難しい問題である。また、広範囲にわたる強力な応答は、持続感染においてさえまれであり、異なるHIV-1クレード由来のウイルス変異株を認識する広範囲中和抗体(bNAb)が作られる成人患者は一部だけである。HIV-1感染乳児でもbNAbが生じるかどうかは知られていない。乳児での疾患への進行は一般的に成人よりも速く、その一因は未熟な免疫系であろうと考えられている。本論文では、bNAbは乳児で一般的に、少なくとも成人と同程度に生じることを示す。クレードをまたいだNAb応答は、28人の感染乳児のうちの20人で検出され、一部の例では感染1年以内に生じた。上位4分の1以内の応答幅を持つ乳児のうち、複数のクレード由来のtier 2もしくはtier 3変異株の中和は感染後20か月で検出された。これらの知見は、出生後の早い時期であっても、HIV-1に対するbNAbを誘導するために十分な機能性をB細胞が備えていることを示唆している。また、乳児でbNAbが比較的早期に出現することは、bNAbをもたらすB細胞の成熟経路を理解するためのまれな状況となる可能性がある。

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