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免疫:肺の微生物叢は新生児でのアレルゲンに対する耐性をPD-L1を介して促進する

Nature Medicine 20, 6 doi: 10.1038/nm.3568

疫学データでは、呼吸器系が健康に向かうか、それとも疾患に向かうかという軌道を環境要因が決定しうる重要な時期が、個体の出生後間もなくに存在することが示されている。 新生児の免疫系はこの時期に成熟するが、その成熟を誘導するシグナルについてはほとんど分かっていない。本論文では、肺での微生物叢の形成が、この過程における重要な規定要因であることを報告する。出生直後の新生仔マウスでは、イエダニのアレルゲンに曝露されると、肺にCD4+Foxp3+CD25+Helios+制御性T(Treg)細胞が多数存在しているにもかかわらず、気道で好酸球増多症が発症して悪化し、2型ヘルパーT細胞サイトカインが分泌されて、気道過敏性が生じる傾向が見られた。出生直後の2週間で肺の細菌量は増大し、優勢な細菌種はガンマプロテオバクテリア綱やファーミキューテス門からバクテロイデテス門へと移行する。微生物叢のこの変化は、空中アレルゲンに対する反応性の低下やHelios-Treg細胞サブセットの出現と関連していた。このサブセットの発生には、PD-L1(programmed death ligand 1)との相互作用が必要である。出生直後の2週間に微生物叢の定着がなかったり、あるいはPD-L1を阻害したりすると、成体期を通じてアレルゲンに対する過剰な反応性が維持された。空中アレルゲンへの曝露前に、新生仔マウスに成体マウス由来のTreg細胞を養子移入すると病態が軽減された。従って、気道の微生物叢形成は出生後の早い時期に制御性細胞を誘導するが、こうした調節が障害された場合、成体期を通じてアレルギー性気道炎症に対する高い感受性が維持されることになる。

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