Between Bedside and Bench

既存薬の転用で創薬の障壁を乗り越える:古顔が新しい芸を覚える

Nature Medicine 20, 6 doi: 10.1038/nm.3595

新しい治療薬の開発は難儀な仕事で、時間も費用もかかる。その上、化合物の開発は、安全性に関わる問題にぶつかることが多い。ヒトでの安全性がすでに確認された薬剤について、開発当初の対象以外の疾患での有効性を検証し、さらに改善を図る「既存薬転用(drug repurposing)」は、創薬過程の初期段階の難関をうまく乗り越えられる可能性が高いため、関心を集めている。BEDSIDE TO BENCHではS Strittmatterが、ある薬剤が新しい分子標的を対象として、もしくは別の疾患について当初と同じ分子標的を対象として転用される場合などの、既存薬転用が有効となりそうなケースについて論じている。BENCH TO BEDSIDEではM Pollakが、通常は糖尿病治療に使われるビグアナイドが、呼吸鎖複合体Iに変異のあるがん細胞に対して直接的な細胞傷害作用を及ぼす可能性があることを示した最近の研究に注目し、また臨床での転用に際して解決が必要となりそうな薬物動態学的難問についても論じている。

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