Editorial

めげずに最後までやり遂げよう

Nature Medicine 20, 6 doi: 10.1038/nm.3608

養子T細胞療法の分野を全体として進歩させるには、さらなる研究と早い時期でのデータ共有が必要である。血液がんに対するキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法の臨床試験を、スローン・ケタリング記念がんセンターが中断したことを受けて、患者自身のT細胞を操作して腫瘍抗原に特異的なCARあるいはT細胞受容体を発現するようにしたものを使用するこの療法自体に疑いの目が向けられるようになった。しかし、この療法一般について否定的になるより、今はこの種の治療法に伴う毒性の防止や治療について必要な研究を可能にする方法を探るべきだろう。T細胞療法についてこれまでに見られた耐容性や治療応答は、研究対象となった患者グループが少人数だったとはいえ、もっと辛抱強く実験を継続するのに十分値するものである。この分野が直面する難問は小さなものとはいえない。だが、この治療法が成功した場合の影響も小さなものではないのである。関連する毒性の十分な解明と結果の公表はこの分野全体を益するだろう。中心的な研究者を含めた関係者、ジャーナル、研究助成機関はこうしたことを可能にする努力を続けるべきだ。

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