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神経変性疾患:反応性アストロサイトが放出するGABAはアルツハイマー病のマウスモデルで記憶を障害する
Nature Medicine 20, 8 doi: 10.1038/nm.3639
アルツハイマー病(AD)の最も顕著な特徴は記憶障害で、これが患者とその家族を苦しめている。反応性アストロサイトは、ADが最初に報告されて以来、アミロイド斑の周囲で観察されているが、記憶障害におけるその役割はほとんど分かっていない。本論文では、反応性アストロサイトが、抑制性グリオ伝達物質のGABAをモノアミン酸化酵素B(Maob)によって異常に大量に産生し、ベストロフィン1チャネルを介してGABAの異常な放出を行うことを示す。ADのマウスモデルの歯状回では、放出されたGABAはシナプス前GABA受容体に作用して、顆粒細胞のスパイク発火率を低下させる。反応性アストロサイトでのGABA産生あるいはGABA放出を阻害すると、マウスではスパイク発火率の低下、障害されていたシナプス可塑性、学習や記憶が完全に回復する。AD患者の死後脳では、アストロサイトでGABAおよびMAOBが大幅に上方制御されている。我々は、アストロサイトでのGABA合成あるいはGABA放出の選択的阻害は、ADでの記憶障害を治療するための有効な治療戦略となると考えている。