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骨粗鬆症:Wnt4シグナル伝達はNF-κB阻害により骨格老化と炎症を防止する
Nature Medicine 20, 9 doi: 10.1038/nm.3586
老化に関連して起こる骨量減少と骨粗鬆症は、世界で数百万人に影響を与えている。老化に関連する慢性炎症は骨吸収を促進し、骨形成を障害する。今回我々は、骨粗鬆症と骨格老化マウスモデルでは、非典型的なWntシグナル伝達を介するNF-κBの阻害により、Wnt4が骨量減少を軽減することを示す。骨芽細胞でWnt4を発現する遺伝子導入マウスでは、卵巣摘出、腫瘍壊死因子あるいは自然老化により誘導される骨量減少と慢性炎症が大幅に軽減する。Wnt4は、骨形成の促進に加えて、破骨細胞形成と骨吸収も阻害した。機構として、Wnt4はマクロファージと破骨細胞前駆細胞で、トランスフォーミング増殖因子β活性化キナーゼ(Tak1)により誘導されるNF-κB活性化をβ-カテニンとは無関係に抑制した。さらに、組換えWnt4は、骨疾患のマウスモデルでin vivoでNF-κBを阻害することで骨量減少と炎症を軽減した。骨形成促進と骨吸収阻害という2つの役割を持つとすれば、Wnt4シグナル伝達は骨粗鬆症の治療と骨格老化予防のための有望な治療標的となると考えられる。