Technical Report
マラリア:標識を使わずにマラリアを迅速診断するためのマイクロ磁気共鳴緩和時間測定法
Nature Medicine 20, 9 doi: 10.1038/nm.3622
本論文では、プラスモジウム属原虫に感染した赤血球を磁気共鳴緩和時間測定法(MRR)によって高感度で定量的かつ迅速に検出するための新手法を報告する。マラリア原虫はその生活環の赤血球内増殖期に細胞内ヘモグロビンを大量に代謝してヘモゾインクリスタリットに変換する。このようなヘモゾイン粒子の常磁性磁化率は比較的大きく、それが赤血球のプロトン核磁気共鳴の横緩和速度にかなりの変化を引き起こすため、我々はこれを使って血中の「原虫負荷量」を推定した。安価な卓上型0.5テスラーMRR装置を使い、試料調整手順を最小限にして化学標識や免疫標識を一切用いずに、10 µl以下の体積の全血を使って測定を行い、マイクロリットルあたり原虫10個未満というレベルの寄生虫血症を数分で検出した。我々は、培養下の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)で、またネズミマラリア原虫(Plasmodium berghei)に感染したマウスではin vivoで、この方法を実証している。