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筋疾患:DMDエキソン5であるIRESの翻訳からは、ヒトとマウスでジストロフィン異常症を軽減する機能的ジストロフィンアイソフォームが生じる
Nature Medicine 20, 9 doi: 10.1038/nm.3628
DMD遺伝子のリーディングフレームを短縮する変異のほとんどはジストロフィン発現を消失させ、デュシェンヌ型筋ジストロフィーにつながる。しかし、DMDエクソン6で始まる別の翻訳開始は、機能の高いN末端短縮型ジストロフィンの発現につながり、疾患重症度が軽減されることが示されている。今回我々は、このアイソフォームがエクソン5内のIRES(配列内リボソーム進入部位:internal ribosome entry site)の使用から生じ、IRESはグルココルチコイド誘導性であることを明らかにした。短縮型変異が存在するにもかかわらず症状が極めて軽微な患者の筋肉で、ペプチドのアミノ酸配列解読とリボソームプロファイリングの両方によってIRESの活性が確認された。エクソンスキッピングによりIRES上流に短縮されたリーディングフレームを生成させたところ、機能を持つN末端短縮型アイソフォームの合成が、ヒト患者由来細胞系列と新規DMDマウスモデルの両方で起こり、短縮型アイソフォームの発現が収縮誘導性の傷害から筋を保護して、対照マウスで見られるのと同程度にまで筋力が改善された。以上の結果は、DMDの5′側エクソン内に変異を持つ患者に対する有力な治療法を確証するものである。