Review

がん:乳がんでの自然免疫監視と治療誘導性の免疫監視

Nature Medicine 21, 10 doi: 10.1038/nm.3944

免疫監視説では、腫瘍が制御されずに進化、進行するのは、抗がん免疫応答がうまく機能しなかった場合だけであると考えられている。自然免疫監視機構がヒト乳がん(BC)のプログレッションに影響することは、BC患者の予後が診断時の腫瘍免疫浸潤の密度、構成、活性に左右されることから明らかである。さらに、BCの治療に一般的に用いられている化学療法レジメンと放射線療法レジメンも腫瘍免疫浸潤に影響し、このような治療の臨床での有効性は、主にT細胞に依存する腫瘍特異的免疫応答により決まることを示唆するデータが増えつつある。また、erb-b2受容体型チロシンキナーゼ2(ERBB2)を標的とする薬剤トラスツマブなどを用いた標的化抗がん治療の作用機構には、自然免疫系と適応免疫系の機能が関わっている。この総説では、このような知見に加えて、免疫療法がBCの治療で有望な選択肢となることを示す予備的証拠について論じる。さらに、BCの管理に免疫療法を使って成功するには、現在の免疫療法レジメンを最適化し、リスク層別化を改良して、個別化した動的治療計画を設計可能にする免疫学的バイオマーカーの探索が必要であることを示す。

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