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白血病:T細胞性急性リンパ芽球性白血病では代謝の再プログラム化が抗NOTCH1治療に対する抵抗性を誘導する
Nature Medicine 21, 10 doi: 10.1038/nm.3955
T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)では、NOTCH1の活性化変異が広く見られる。本論文では、グルタミン分解が白血病細胞の増殖に不可欠のNOTCH1下流経路であって、in vivoでは抗NOTCH1治療に対する応答の重要な決定因子であることを明らかにする。T-ALLでのNOTCH1シグナル伝達の阻害はグルタミン分解の著しい阻害を伴う代謝停止を引き起こし、白血病細胞の代謝を支えるサルベージ経路としてオートファジーが誘発される。従って、T-ALLを有するマウスではグルタミン分解の阻害およびオートファジーの阻害が、強力かつ相助的に抗NOTCH1療法の抗白血病効果を増強する。さらに、Ptenの欠失は解糖系を上方調節し、その結果として白血病細胞の代謝が回復し、それによってNOTCH1阻害の抗白血病効果が無効化されることが分かった。総合するとこれらの結果は、グルタミン分解ががんの代謝でNOTCH1によって制御される主要なノードであり、T-ALL治療のための治療標的となることを明らかにしている。