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インフルエンザ:内因性の抗原プロセシングはインフルエンザに対するCD4+ T細胞一次応答を誘導する

Nature Medicine 21, 10 doi: 10.1038/nm.3958

CD4+ Tリンパ球は一般的に、細胞内に取り込まれた抗原に由来する外来ペプチドと自己ペプチドを主要組織適合抗原複合体クラスII分子と協働して認識する。エピトープ産生のまた別の経路も複数見つかっているが、宿主防御へのその関与は明らかにされていない。本論文ではマウスの感染モデルを使い、インフルエンザウイルスに対する持続的な防御に非常に重要な対インフルエンザウイルスCD4+ T細胞応答が、感染した抗原提示細胞の内部で作られた抗原が異例のプロセシングを受けることによって主に推進され、抗原の古典的なプロセシング過程、すなわちエンドサイトーシスされたウイルス粒子もしくは感染細胞に由来する物質のプロセシングにはよっていないことを示す。これに関与する細胞成分(H2-M分子シャペロン、プロテアソームおよびγ-インターフェロン誘導型リソソームチオール還元酵素などが含まれる)の解析では、個々のエピトープ生成にはかなりの不均一性があり、これはペプチド多様性を確保してCD4+ T細胞の広範な関与を確実にするためであることが明らかになった。これらの結果は、合理的なワクチン設計の戦略を根本的に修正する可能性があり、また自己免疫および抗腫瘍応答の誘導に対して重要な手掛かりをもたらすと考えられる。

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