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脂質代謝:マイクロRNA-148aはLDL受容体とABCA1発現の調節により循環血中リポタンパク質レベルを制御する
Nature Medicine 21, 11 doi: 10.1038/nm.3949
肝臓の低密度リポタンパク質受容体(LDLR)経路は循環血中LDLコレステロール(LDL-C)の除去に必須である。LDLRの転写調節については詳しく調べられているのに対して、LDLR発現を支配している転写後調節機序の方は解明が始まったばかりである。我々は今回、ゲノム規模でのハイスループット・スクリーニングアッセイ法を開発し、ヒト肝細胞でLDLR活性を調節しているマイクロRNA(miRNA)を系統的に探索した。このスクリーニングによって、miR-148aがLDLR発現と活性の負の調節因子であることが突き止められ、miR-148aがLDL-C取り込みを調節するのに使われるSREBP1(sterol regulatory element-binding protein 1)依存性経路が明らかにされた。マウスではmiR-148aを阻害すると、肝臓LDLRの発現が増大し、血漿LDL-C量が減少した。さらにin vivoでは、miR-148aが肝臓でのABCA1(ATP-binding casette, subfamily A, member 1)の発現と循環血中高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)のレベルを調節していることが見いだされた。これらの結果は、miR-148aがLDLRの発現の直接的な調整によって肝臓からのLDL-C除去の重要な調節因子の役割を果たしていることを明らかにしており、またmiR-148aの阻害によって心血管系疾患の重要なリスク因子である高いLDL-C/HDL-C比を低下させるという、新たな治療法候補を示している。