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免疫:毛嚢由来のIL-7とIL-15は皮膚常在型記憶T細胞の恒常性とリンパ腫を調節する
Nature Medicine 21, 11 doi: 10.1038/nm.3962
皮膚にはさまざまな種類の白血球サブセットが常在しており、これらは免疫恒常性を維持するために厳密に制御されなければならない。毛嚢は皮膚に特有の構造であり、ケモカイン産生を介して皮膚の樹状細胞の恒常性に関与している。長期の皮膚免疫を担うCD4+およびCD8+の皮膚常在型記憶T細胞(TRM細胞)は、正常時には主に表皮の毛嚢上皮に存在することが分かった。表皮と毛嚢に対するTRM細胞のこのような向性を、ここでは表皮向性(epidermotropism)と呼ぶことにする。毛嚢でのIL-15発現はCD8+ TRM細胞に、IL-7発現はCD8+とCD4+ TRM細胞に必要とされ、表皮向性を成立させる。これらのサイトカインのどちらかを皮膚で欠失させると、ハプテンによる接触性過敏応答が失われた。皮膚T細胞リンパ腫モデルでは、表皮向性を示すCD4+ TRMリンパ腫細胞の局在は、毛嚢由来のIL-7の存在に依存していた。以上の結果は、毛嚢に由来するサイトカインが、悪性と非悪性のTRM細胞の組織常在性に対する調節因子であることを示しており、これらのサイトカインは炎症性の皮膚疾患やリンパ腫での治療標的となりうると考えられる。