Analysis
がん:大腸がんのコンセンサス分子的サブタイプの構築
Nature Medicine 21, 11 doi: 10.1038/nm.3967
大腸がん(CRC)は致死的となることの多い疾患で、転帰や薬剤応答性にばらつきがある。従来の遺伝子発現に基づいたCRCの分類に見られる矛盾点を解決し、トランスレーショナル研究を促進するために、我々は大規模データの共有と多様な専門分野の研究者による分析を目的とする国際コンソーシアムを結成した。本論文では、6つの独立した分類システムの間では相互に顕著なつながりが見られ、際立った特徴を持つ4つのコンセンサス分子サブタイプ(consensus molecular subtype:CMS)がまとめられたことを示す。CMS1(マイクロサテライト不安定化と免疫反応、14%)は高頻度の突然変異が起こり、マイクロサテライトが不安定化して、強い免疫活性化を示す。CMS2(古典的、37%)は上皮性で、WNTとMYCシグナル伝達の顕著な活性化が見られる。CMS3(代謝性、13%)は上皮性で、明らかな代謝調節異常が見られる。CMS4(間充組織性、23%)は、トランスフォーミング増殖因子βの顕著な活性化、間質浸潤、血管形成を示す。混合的な特徴を持つサンプル(13%)は、移行的な表現型もしくは腫瘍内での不均一性を示していると考えられる。CMSグループは、現在CRCについて得られる分類システム中で最も確実性が高いものであり、明確な生物学的解釈を備えていて、将来の臨床での層別化やサブタイプによる標的化治療基盤となるだろう。