Review

がん:lncRNAががんで果たす新たな役割

Nature Medicine 21, 11 doi: 10.1038/nm.3981

がんに見られるゲノム変異の多くは、タンパク質をコードしていない領域内に存在していることが明らかになりつつある。しかし、このような領域は長鎖非コードRNA(lncRNA)に転写されることが多い。最近、次世代塩基配列解読法を用いて解読されたがんトランスクリプトームの数が増え、lncRNAでその異常な発現が多様ながん種に関連するものが実際に多数見つかっている。こうしたlncRNAのうちで機能が詳しく調べられたものは少ないが、いくつかは悪性形質転換に関連づけられている。注目すべきことに、このようなlncRNAは遺伝子調節に重要な役割を担っていて、そのため増殖、生存、移動あるいはゲノム安定性など、細胞の恒常性のさまざまな面に影響を与えている。本総説は、lncRNAについて現在得られている知識を、がんという観点からまとめることを目的とする。さらに、がんに関連するlncRNAの検出につながる戦略や、このような分子の研究に関わる方法論や難問に加え、これらの知見の臨床への迅速な応用についても論じる。

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