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血液疾患:骨髄増殖性新生物で巨核球が誘導する繊維化をAURKA阻害によって治療標的とする
Nature Medicine 21, 12 doi: 10.1038/nm.3995
原発性骨髄繊維症(PMF)は、骨髄の繊維化、骨髄増殖、髄外造血、脾腫と白血病のプログレッションを特徴とする。さらに、PMF患者の骨髄と脾臓には異型の巨核球が多数存在していて、これらはトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)などのサイトカインの放出を介して繊維化に関わっていると考えられている。Janusキナーゼ阻害薬ルクソリチニブは症状を回復させるが、変異対立遺伝子のもたらす負荷は軽減せず、繊維化を大幅に回復させることもない。今回我々は、薬理学的および遺伝学的研究によりオーロラキナーゼA(AURKA)がPMFの新たな治療標的であることを明らかにした。AURKAの選択的阻害薬であるMLN8237の投与は、PMF関連変異を持つ巨核球の多倍数化と分化を促進し、PMFのin vivoマウスモデルで、強力な抗繊維化活性と抗腫瘍活性を示した。さらに、in vivoではAurkaのヘテロ接合性欠失だけで、繊維化などのPMFの特性を軽減するのに十分だった。今回の結果は、PMFでは巨核球が繊維化を促進すること、またAURKA阻害薬による巨核球の標的化が治療に有効となる可能性を示唆している。