Review
老化および老化関連疾患における細胞の加齢:その機構から治療まで
Nature Medicine 21, 12 doi: 10.1038/nm.4000
細胞の加齢、つまり多様なストレス因子に応答して細胞に恒久的な増殖停止を課す過程は、老化や老化関連疾患の重要な誘因である可能性が明らかになってきており、そのために老化に対する治療法を探索する際の標的として関心を集めている。培養細胞の加齢現象については過去半世紀にわたって豊富な情報が得られてきた。しかし生体の老化についての解明はほとんど進んでおらず、その主な原因は組織や器官に含まれる老化した細胞を見つけ出し、特性を解析する技術が限られていることである。一方で、加齢には有益なシグナル伝達機能があることが新たに確認され、老化細胞を無差別的に標的としたり、そのセクレトームを抗老化治療のために操作したりすることが悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。本総説では、老化と老化関連疾患、またこうした疾患の治療法という見地から、in vivoで老化を誘導するストレス因子、老化を起こしやすい細胞種、老化細胞のオートクリン特性とパラクリン特性の研究における現在の進歩と難問について論じる。