Technical Report
骨形成:骨芽細胞を標的とするアプタマー官能化脂質ナノ粒子はRNA干渉を使った新規の骨同化戦略となる
Nature Medicine 21, 3 doi: 10.1038/nm.3791
RNA干渉(RNAi)を使った骨同化戦略の安全性や有効性については、骨形成性siRNAを骨芽細胞へ特異的かつ直接的に送達する系が現状では存在しないことで、まだ大きな懸念が持たれている。今回我々は、cell-SELEX法によるスクリーニングによって、ラットおよびヒトの骨芽細胞を特異的に標的とするアプタマーCH6を選び出し、これを使って骨形成性のPlekho1(pleckstrin homology domain-containing family O member 1))siRNAを封入したアプタマー官能化脂質ナノ粒子(LNP)、すなわちCH6-LNPs-siRNAを開発した。CH6はin vitroで骨芽細胞選択的なPlekho1 siRNA取り込み(主にマクロピノサイトーシスによる)を促進することが明らかになった。またin vivoでは、CH6は骨減少症および健常な齧歯類の両方で、Plekho1遺伝子の骨芽細胞特異的なサイレンシングを増強し、これによって骨形成が促進されて骨微細構造が改善し、骨量が増えて機械的特性が強化された。これらの結果は、骨芽細胞特異的なアプタマー官能化LNPが、RNAiを使った新しい骨同化戦略の手段となる可能性があること、また標的を絞って骨形成性siRNAを送達するための選択能を組織レベルから細胞レベルへと向上できることを示している。