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炎症:炎症性疾患治療に使えるNLRP3インフラマソーム低分子阻害剤

Nature Medicine 21, 3 doi: 10.1038/nm.3806

NLRP3(NOD-like receptor family, pyrin domain-containing protein 3)インフラマソームは炎症過程の構成因子であり、その異常な活性化はクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)のような遺伝性疾患や、多発性硬化症、2型糖尿病、アルツハイマー病や動脈硬化などの複雑性疾患の発症原因となっている。本論文では、NLRP3に対して強力かつ選択的に働く低分子阻害剤MCC950の開発について報告する。MCC950は、古典的および非古典的なNLPR3活性化をナノモル濃度で阻害した。MCC950はNLRP3の活性化を特異的に阻害するが、AIM2、NLRC4あるいはNLRP1インフラマソームの活性化は阻害しなかった。MCC950はin vivoでインターロイキン1β(IL-1β)産生を低下させ、多発性硬化症の病態モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の重症度を軽減した。さらにMCC950の投与は、CAPSのマウスモデルで見られる新生児致死性を救済し、またマックル・ウェルズ症候群患者由来のex vivo標品で活性が見られた。従ってMCC950は、自己炎症性疾患や自己免疫疾患などのNLRP3関連症候群の治療薬となると考えられ、またヒトの健康時および罹患時におけるNLRP3インフラマソームの今後の研究のための手段となるだろう。

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