Review
貧血:貧血の分子機構研究と治療における進展
Nature Medicine 21, 3 doi: 10.1038/nm.3814
貧血は世界的に、罹患率および死亡率の上昇の大きな原因となっている。本稿では、赤血球細胞(RBC)の産生機構やさまざまな種類の貧血の発症機構に関する最近の研究成果と、これらに基づいて開発された新たな治療法について概説する。これらの新たな知見は主に基礎科学研究から得られたもので、衰弱を起こすことの多いタイプの貧血を理解し、罹患者の治療可能性を向上させるのに大きく役立つだろう。世界的にも重要な疾患で、貧血研究の新たな進展によって治療法の開発が進むと考えられるものとしては、異常ヘモグロビン症(β-サラセミアや鎌形赤血球症)、RBC産生のまれな遺伝的異常、また慢性腎臓病や炎症、がんと関連した貧血などが挙げられる。有望な新しい治療戦略としては、最近明らかにされたRBC産生経路を標的とする薬剤、鉄代謝や胎児のグロビンファミリー遺伝子発現を対象とするもの、また改良ウイルスベクターや新たに開発されたゲノム編集技術を用いる遺伝子治療などがある。