Article

がん:去勢抵抗性前立腺がんでのMLL複合体の標的化

Nature Medicine 21, 4 doi: 10.1038/nm.3830

アンドロゲン枯渇療法への抵抗性やアンドロゲン受容体(AR)活性の増強は、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の主要なドライバー因子である。従来の研究はARを直接標的とすることに集中していたにもかかわらず、新規な治療標的となる可能性があるARシグナル伝達のコアクチベーターについては、比較的研究が行われていなかった。本論文では、MLL融合陽性白血病の促進因子としてよく知られているMLL(mixed-lineage leukemia)タンパク質複合体が、ARシグナル伝達のコアクチベーターとして機能することを明らかにする。ARは、メニン–MLLサブユニットを介してMLL複合体と直接相互作用する。CRPCでのメニン発現は、ホルモン療法を受けたことのない前立腺がんや良性前立腺組織での発現に比べて高く、またメニンの高発現は前立腺がんと診断された患者の全生存率の不良と相関していた。メニン–MLL間の相互作用を阻害する小分子はARシグナル伝達を遮断し、in vivoではマウスで去勢抵抗性腫瘍の増殖を抑制した。まとめると、本研究はMLL複合体がARの重要なコアクチベーターであり、進行した前立腺がんの治療標的候補となることを明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度