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がん:腫瘍微小環境内での細胞間相互クロストークは腫瘍溶解性ウイルスの活性を増進する

Nature Medicine 21, 5 doi: 10.1038/nm.3848

腫瘍は、「正常」な細胞と悪性の細胞とが相互に作用し合うネットワークから構成される複雑な生態系である。がん関連繊維芽細胞(CAF)や血管内皮細胞、免疫細胞などの正常な間質細胞とがん細胞の間ではサイトカインを介したクロストークが行われており、それが腫瘍の生物学的性質のすべてに影響を及ぼすことはよく知られている。本研究では、CAFとがん細胞の間のクロストークが、腫瘍溶解性ウイルス(OV)を用いる治療法でのウイルス増殖促進につながることを示す。腫瘍細胞が産生したトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)は、CAFを再プログラム化して抗ウイルス転写産物の定常状態レベルを低下させ、ウイルス感染に対する感受性を高めた。次いでCAFは繊維芽細胞増殖因子2(FGF2)を大量に産生して、がん細胞でRIG-1(retinoic acid-inducible gene I)の発現を低下させるシグナル伝達カスケードを開始させ、悪性細胞がウイルスを検出し応答するのを妨害した。膵臓がん患者に由来する異種移植片では、FGF2の発現がOV感染に対するがん細胞の感受性と相関しており、耐性腫瘍サンプルにFGF2を局所投与すると、in vitroin vivoの両方で、腫瘍がウイルス療法に対して感受性を示すようになった。FGF2を発現するように改変したOVは、担がんマウスで安全性が確認され、親ウイルスに比べて治療効果が改善されて、臨床試験を考慮するに値する結果が見られた。

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