Perspective
がん:抗腫瘍薬開発の際のトランスレーショナル研究におけるマウスモデルの有用性
Nature Medicine 21, 5 doi: 10.1038/nm.3853
腫瘍学研究におけるさまざまなモデル系の利点と欠点については多くの言及があるが、全体的な見方として、前臨床研究の結果を臨床へ移行させるために必要な予測を行うことはこれらのモデルではできないといわれている。前臨床モデル系の中には他よりも優れたものがあると主張する向きもあるが、前臨床研究で標的を検証し、分子選択を行うのに1種類のモデルだけで十分足りるとは考えられない。本稿では、どれが優れているかというそれぞれの主張について公正かつ批判的な考察を行い、既存の前臨床モデルを薬剤評価や創薬に適切に使用するための枠組みについて概説する。また、腫瘍学研究で使われるマウスモデルに存在するギャップをはっきりさせ、前臨床的腫瘍学研究で、モデルの種類とは関係なく、広く見られる欠点について論じ、このような問題に対処するための方法を示す。