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白血病:再発した小児ALLでは負のフィードバックに異常を示すPRPS1変異体がチオプリン抵抗性を促進する
Nature Medicine 21, 6 doi: 10.1038/nm.3840
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児では、再発が死亡の主原因である。化学療法剤の中で、チオプリン類はALL併用療法での重要な薬剤となっている。我々は全エキソーム塩基配列解読により、プリン生合成の律速酵素をコードするホスホリボシルピロリン酸シンテターゼ1遺伝子(PRPS1)に再発特異的な変異を見つけ出した。この変異は小児B細胞性ALL(B-ALL)の再発症例358例中の24例(6.7%)で見られた。PRPS1変異を持つ患者の全員が治療の早期に再発し、また、変異の生じたALLクローンでは臨床的再発以前に指数関数的な増殖が見られた。PRPS1変異体の機能解析から、de novoプリン生合成のフィードバック阻害の低下と、チオプリン活性化の競合阻害が関与して、化学療法抵抗性を生じさせる新規な機構が明らかになった。de novoプリン合成の阻害剤であるロメトレキソールが、変異型PRPS1が促進する薬剤抵抗性を効率的に無効化したことは重要である。これらの結果は、de novoプリン合成経路の構成的活性化がチオプリン抵抗性に重要であることをはっきりと示しており、また、再発性ALLおよびチオプリン抵抗性ALLを治療するための治療戦略を示している。