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腎疾患:ダイナミンのアクチン依存性オリゴマー形成の薬理学的標的化は、多様な動物モデルで慢性腎疾患を軽減する

Nature Medicine 21, 6 doi: 10.1038/nm.3843

足細胞でのアクチン細胞骨格の調節異常はタンパク尿の一般的な病因で、さまざまな慢性腎疾患(CKD)で生じている。GTPアーゼのダイナミンはアクチンとの直接的相互作用を介して、足細胞の細胞構造の維持に関与していることが示されている。さらに、ダイナミンは、アクチンに依存するオリゴマー化や、アクチン微小繊維の架橋によって高次構造を形成しやすく、こうした性質はアクチン重合の増加や細胞でのアクチン細胞骨格の全体的な組織化と関連付けられている。損傷を被った足細胞でのダイナミンのアクチン依存性オリゴマー形成とその結果としてのアクチン重合を促進する小型分子Bis-T-23は、一過性腎疾患およびCKDの両方についての多様なモデルで腎臓の健常性を改善するのに十分であった。特に、Bis-T-23のこのような腎疾患モデルへの投与は、足細胞の足突起の正常微細構造を回復し、タンパク尿を減少させ、メサンギウム基質のコラーゲンIV沈着を低下させ、メサンギウム基質の増加を止めて、寿命を延長した。以上の結果は、腎臓足細胞のアクチン細胞骨格の変化がCKDの広く見られる特徴であることを確証しているが、その一方で損傷を受けた糸球体がかなりの再生能を持つことも明確にしており、またダイナミンのオリゴマー形成サイクルがCKD治療の有望な治療標的候補であることを示している。

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