Brief Communication
がん:獲得型のEGFR C797S変異は、EGFRにT790M変異が生じている非小細胞性肺がんでAZD9291抵抗性をもたらす
Nature Medicine 21, 6 doi: 10.1038/nm.3854
本論文では、上皮増殖因子受容体(EFGR)チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるAZD9291に対する抵抗性が生じた進行性肺がん患者の血漿中無細胞画分DNA(cfDNA)について調べた。まず、7人の患者のcfDNAについて次世代塩基配列解読を行ない、獲得型EGFR C797S変異が1人の患者で検出された。この変異型EGFR構築体を発現させた細胞株はAZD9291抵抗性を示すようになった。次に、AZD9291を投与された患者15人から集めた一連のcfDNA試料について、ドロップレットデジタルPCRを行った。治療前には全ての試料にT790M変異が存在したが、AZD9291抵抗性が生じると、3種類の分子サブタイプが出現した。すなわち、6例ではC797S変異が獲得されており、5例ではT790M変異は維持されているがC797S変異は獲得されておらず、4例では元からのEGFR活性型変異が存在するにもかかわらずT790M変異が失われていた。この結果は、腫瘍がAZD9291抵抗性を獲得する機序の多様性についての手掛かりをもたらし、EGFR C797S変異によって仲介される薬剤抵抗性に打ち勝つことができる治療法の必要性をはっきりと示している。