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免疫:骨髄由来免疫抑制細胞は代謝調節を介して、B型肝炎の際に免疫によって生じる病的状態を調節する
Nature Medicine 21, 6 doi: 10.1038/nm.3856
B型肝炎ウイルス(HBV)の感染による組織傷害の程度はさまざまである。HBVは病的状態を生じることなく複製を行うこともあれば、免疫を介して壊死性炎症性の肝傷害を引き起こすこともある。我々は、このような条件下でT細胞を介して起こる病的状態を骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)が抑制する可能性について調べた。顆粒球系のMDSC(gMDSC)は一過性の急性HBV感染で一時的に増加し、肝傷害がピークになる前にその割合が低下した。持続感染では、アルギナーゼを発現しているgMDSC(および循環血中のアルギナーゼ)が、免疫による病的状態を伴わないHBV複製を特徴とする病期に最も増加し、その一方でL-アルギニンは減少した。gMDSCは肝臓にホーミングするためのケモカイン受容体を発現していて、肝臓に集積し、肝星細胞に助けられて増殖した。また、gMDSCが部分的にアルギナーゼに依存した形でT細胞を強力に阻害することのin vitroとex vivoでの証拠を示す。L-アルギニンを欠乏させたT細胞は、システムLアミノ酸輸送体の発現を増やして、必須栄養素の取り込みを増加させ、代謝の再プログラム化を行った。これらの結果は、HBV感染では、アルギナーゼを発現するgMDSCの増殖が肝臓での免疫による病的状態を調節し得ることを実証している。