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糖尿病:マイクロRNA-200ファミリーは2型糖尿病での膵ベータ細胞の生存を調節する
Nature Medicine 21, 6 doi: 10.1038/nm.3862
膵ベータ細胞の細胞死は1型糖尿病(T1D)や2型糖尿病(T2D)の特徴だが、糖尿病病変のこの局面を引き起こす分子機構はほとんど解明されていない。今回我々は、糖尿病マウスの膵島ではマイクロRNA(miR)-200ファミリーの発現が強力に誘導されていること、また、マウスでのベータ細胞特異的なmiR-200過剰発現が、ベータ細胞のアポトーシスや致死的T2Dの誘導に十分であることを報告する。逆に、マウスでmir-200を除去するとベータ細胞のアポトーシスが少なくなり、T2Dが改善する。miR-200は、ベータ細胞の重要なシャペロンであるDnajc3(別名p58IPK)やカスパーゼ阻害因子Xiapを含む、保存された抗アポトーシスネットワークやストレス抵抗性ネットワークを負に調節することが明らかになった。また、mir-200の量が腫瘍抑制因子Trp53の活性化を正に制御していて、それにより糖尿病マウスの膵島で見られるアポトーシス促進性の遺伝子発現シグネチャーが生じることも分かった。そのため、miR-200が誘発するT2Dは、Trp53およびBax〔Bcl2(B cell lymphoma 2)タンパク質ファミリーに属するアポトーシス促進因子〕のシグナル伝達阻害により抑制される。我々の結果は、糖尿病でのベータ細胞生存や病態生理にmiR-200ファミリーが非常に重要な役割を担っていることを明らかにしている。