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真菌感染症:共生細菌によるHIF-1αとLL-37の活性化はCandida albicansの定着を阻害する
Nature Medicine 21, 7 doi: 10.1038/nm.3871
カンジダ属真菌の一種であるCandida albicansの定着は、感染が侵襲性となるのに必要である。成熟した正常な腸内細菌叢を持つ成体マウスはヒトとは違って、C. albicansの消化管(GI)定着に対して耐性を持つが、C. albicans定着に対する耐性を生じやすくする因子は知られていない。今回我々は、共生嫌気性細菌、特にフィルミクテス門のクロストリジウム類(クラスターIVとXIVa)とバクテロイデスが、マウスでC. albicans定着耐性の維持に非常に重要であることを示す。Bacteroides thetaiotamicronをモデル微生物として使って、自然免疫エフェクターを活性化させるのに重要な転写因子である低酸素誘導因子-1α(HIF-1α)、および抗微生物ペプチドLL-37(マウスではCRAMP)がC. albicans定着耐性の重要な決定因子であることが明らかになった。抗生物質の投与はC. albicans定着を可能にするが、結腸のHif1aを薬理学的に活性化するとCRAMP発現が誘導され、C. albicansのGI定着が大幅に低下し、侵襲性疾患による致死率が50%低下する。抗生物質投与条件下では、Hif1aとCamp(CRAMPをコードする)は、腸でのC. albicans定着に対してB. thetaiotamicronが誘導する防御に必要とされる。従って、腸粘膜の免疫エフェクターの活性化によるC. albicansのGI定着の調節は、ヒトでの侵襲性真菌症を防ぐ新しい治療法となる可能性がある。