動脈硬化:インターロイキン18のアテローム性動脈硬化促進作用はインターロイキン18受容体とNa-Cl共輸送体によって仲介される
Nature Medicine 21, 7 doi: 10.1038/nm.3890
インターロイキン18(IL18)は、複数の機序を介してアテローム性動脈硬化発生に関与すると考えられている。マウスでは、IL18活性の遮断はアテローム性動脈硬化を縮小させる。今回我々は、動脈硬化モデルであるアポリポタンパク質E欠損(Apoe−/−)マウスでのIL18受容体(IL18r)の欠損はアテローム性動脈硬化に影響しないばかりか、内皮細胞でのIL18の細胞表面への結合あるいはシグナル伝達にも影響しないことを示す。当初IL18との免疫共沈降により明らかにされたように、IL18は主に腎臓で発現し、12回膜貫通ドメインを持つイオン輸送体であるNa-Cl共輸送体(NCC、別名SLC12A3)と相互作用していることが分かった。NCCはアテローム性動脈硬化巣に発現し、そこでIL18rと共局在する。Apoe−/−マウスでは、IL18rとNCCの両方が欠損するとアテローム性動脈硬化が抑制されるが、いずれか一方の分子の欠損のみでは抑制されない。Apoe−/−マウス、あるいはIL18rとNCCのどちらか一方を欠損するApoe−/−マウスに由来する腹腔マクロファージでは、IL18結合と細胞シグナル伝達の誘導、およびサイトカインとケモカインの発現が見られるが、IL18rとNCCの両方を欠損するApoe−/−マウスでは、これらの応答が減弱していた。マクロファージでのNCCとIL18r間の相互作用は免疫共沈降によって確認された。IL18は、NCCを遺伝子導入したCOS-7細胞(本来的にはIL18rを発現しない)の表面に結合し、細胞シグナル伝達とサイトカイン発現を誘導した。以上の結果は、NCCがIL18結合タンパク質であって、細胞シグナル伝達、炎症性サイトカイン発現や実験的アテローム動脈硬化でIL18rと協調して機能することを明らかにしている。