Review

リンパ球が関わる免疫に栄養素由来代謝物が及ぼす影響

Nature Medicine 21, 7 doi: 10.1038/nm.3894

生物は、周囲の環境から生じることがある危険から自身を防御しなくてはならない。その一方で、生存のためには同じ周囲環境と常時、密接に関わることが必要である。免疫系は、侵入してくる微生物やそれらに含まれる毒素に対する防御手段となる。免疫系は多種類の細胞から構成され、他の組織と高度に統合されている。免疫の活性は、宿主とその環境とを隔てている境界表面である皮膚や消化管などで特に高い。このことによって、直接的に危険に曝される部位での防御が可能になるが、環境因子の方も免疫系の構造や免疫細胞の成熟と機能に影響を及ぼせるようになる。最近の研究によって、こうした因子の中では食餌が免疫系にとりわけ大きな影響を及ぼしていて、そのために炎症性疾患の発病に関わっていることが示されている。本総説では、外的因子、特にビタミンAのような食餌由来の因子が、免疫の活性や機能に対して直接的あるいは間接的に決定的影響を及ぼし得る仕組みについて、最近の研究を中心に検討する。

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