Technical Report

がん:c-Metを標的とする蛍光ペプチドの静脈内投与によるヒト大腸ポリープの検出

Nature Medicine 21, 8 doi: 10.1038/nm.3641

大腸がんの予防は現在、白色光を用いてポリープを検出し切除する大腸内視鏡検査法に依存しているが、この方法だと小さいポリープや平坦なポリープの検出は難しく、見落とされることがしばしばである。蛍光大腸内視鏡検査と、ポリープのバイオマーカーに特異的な蛍光プローブを併用すれば、ポリープ検出率が改善される可能性がある。今回我々は、26個のアミノ酸からなる環状ペプチド(ヒトチロシンキーゼc-Metに結合する)に蛍光性のシアニン色素を連結したGE-137という水溶性プローブについて報告する。GE-137は、マウスで静脈内投与するとc-Metを発現する腫瘍に特異的に集積し、またヒトでは安全で忍容性も良好である。GE-137の静脈内投与を受けた患者の蛍光大腸内視鏡検査では、白色光で可視化できた腫瘍性ポリープ全て(38)に加えて、白色光では可視化できなかった9例のポリープが見つかった。ヒトでは初のこの予備研究から、c-Met特異的な静脈内蛍光試薬を使う分子画像化法が実現可能かつ安全であることや、他の方法では見逃されるポリープを検出できる可能性が明らかになった。

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