Brief Communication
幹細胞:c-kit+細胞は肺の維持と修復の際に上皮細胞運命ではなく血管内皮細胞運命をたどる
Nature Medicine 21, 8 doi: 10.1038/nm.3888
常在する幹細胞の細胞運命が肺の再生に際して指定される仕組みを解明することは、臨床的に重要である。ヒト肺に常在するc-kit+前駆細胞は、損傷したマウス肺に移植されると上皮細胞系譜を再生することが報告されている。本研究では、遺伝学的な誘導性細胞系譜追跡法により、c-kit+細胞がたどり得る細胞系譜を調べた。c-kit+細胞は恒常性が維持されている場合および修復の際には肺上皮形成に関わることはなく、血管内皮細胞運命を維持することが明らかになった。今回の結果は、肺疾患の治療で肺上皮前駆細胞としてc-kit+幹細胞を用いることに注意を促すものである。