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再生医学:マウスとヒトの胎児肺細胞はプレコンディショニングにより生着可能となり、マウスで肺を修復できる
Nature Medicine 21, 8 doi: 10.1038/nm.3889
損傷した肺の修復は、長年にわたって治療上の難問となってきた。本論文では、肺発生の管状期〔ヒトでは妊娠20〜22週目、マウスでは胎生15〜16日(E15–E16)〕にあるヒトおよびマウスの胎児肺組織には、それぞれ固有のニッチに存在する前駆細胞が多数見られることを示す。これらのニッチは骨髄中の前駆細胞ニッチと著しい類似性を示すため、我々は骨髄移植と同様の方法を用いて、まず致死量以下の放射線照射によって肺前駆細胞ニッチを失わせ、幹細胞の競合を減少させた。GFP標識マウス、あるいはヒト胎児ドナーの管状肺組織に由来する単細胞懸濁液を、ナフタレンによる肺損傷と放射線照射を行った同系マウス、あるいはSCIDマウスにそれぞれ静脈内注射すると、非常に長期間にわたって肺のキメラ状態が誘導された。ドナー型の構造である「パッチ(patch)」は、上皮、間充織および内皮細胞を含んでいた。個別に標識したE16マウスの肺細胞の移植によって、これらのパッチはドナーに由来するクローンであるらしいことが明らかになった。単細胞懸濁液の移植を受けたレシピエントでは、肺組織におけるエネルギー散逸を表す肺コンプライアンスと組織ダンピングの顕著な改善が見られた。我々の研究は、肺ニッチのプレコンディショニング後に管状期ヒト肺細胞を使って肺を再構築するという考えの概念実証となる。