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老化:β2ミクログロブリンは認知機能や神経新生を障害する全身性の老化促進性因子である

Nature Medicine 21, 8 doi: 10.1038/nm.3898

老化は、成体脳で認知機能や再生能の低下を促進し、健常者では神経変性疾患を発症しやすくする。若齢と老齢の動物の循環系をつなぎ合わせる異齢性並体結合(heterochronic parabiosis)を用いた実験は、老齢動物の血中を循環する老化促進因子が脳の老化表現型を促進することを示している。我々は、主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC I)分子の構成因子であるβ2ミクログロブリン(B2M)が、成体海馬における認知機能と再生能を年齢に依存した様式で負に調節する循環因子であることを見いだした。B2Mの血中レベルは老齢のヒトおよびマウスで上昇しており、老齢マウスの海馬および異齢性並体結合した若齢マウスの海馬でも上昇が見られた。若齢マウスでB2Mを外部から全身的に、あるいは海馬局所的に注入すると、海馬に依存する認知機能や神経新生が障害された。B2Mや異齢性並体結合による負の影響は、Tap1(transporter associated with antigen processing 1)を欠失して細胞表面のMHC Iの発現が低下した若齢マウスの海馬では部分的に軽減された。内因性B2Mが発現しないと老齢マウスでの老化に関連した認知低下が見られなくなり、神経新生が増強された。我々の結果は、老齢動物の血中での全身的なB2M蓄積が、老化に関連した認知機能障害を促進して神経新生を障害すること、障害の一部はMHC Iを介して起こることを明らかにしており、B2Mは高齢者で治療標的となる可能性を示唆している。

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