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がん:NY-ESO-1特異的TCRを組み込んだT細胞は骨髄腫で持続的な抗原特異的抗腫瘍効果を仲介する
Nature Medicine 21, 8 doi: 10.1038/nm.3910
多発性骨髄腫(MM)は、治療法の最近の進歩にもかかわらず、いまだに多くが不治である。今回我々は、がん-精巣抗原NY-ESO-1およびLAGE-1に共通の自然にプロセシングされたペプチドを認識する親和性増強T細胞受容体(TCR)を発現するように改変された自家T細胞の安全性と活性を評価するための第I/II相試験の結果を報告する。抗原陽性MMの患者20人が、自家幹細胞移植の2日後に平均して2.4×109個の改変T細胞の注入を受けた。注入は耐容性が良好で、IL-6レベルが高いにもかかわらず臨床的に明らかなサイトカイン放出症候群は見られなかった。改変T細胞は増殖して存続し、骨髄へと移動して細胞傷害性の表現型を示した。血中での改変T細胞の持続性は、骨髄NY-ESO-1レベルと逆相関していた。病気の進行はT細胞の持続性喪失もしくは抗原逃避と関連していて、移入したT細胞について予測された作用機序と一致していた。有望な臨床応答は、進行したMM患者20人中16人(80%)に認められ、中央値で19.1か月という無増悪生存期間が見られた。NY-ESO-1– LAGE-1 TCRを組み込んだ改変T細胞は安全で、骨髄に送られて長い持続性を示し、これが抗原陽性骨髄腫に対する臨床活性と相関していると結論される。